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日本山岳会が選ぶ「日本の山岳古道120選」

5 恐山古道

日本三大霊場 恐山菩提寺への地蔵道

恐山は下北半島の中央部にあり、カルデラ湖である宇曽利山湖を囲む外輪山と火山の総称です。
古くから修験者が活動し、近世には地蔵信仰の中心となり、豊作(大漁)の祈願や死者供養あるいは湯治の場として人々の崇敬を集めてきました。湖畔にある恐山菩提寺は、日本三大霊場の一つといわれています。
恐山参りは年に3回(春・夏・秋)行われました。春(豊作・大漁の祈願)と秋(豊作・大漁のお礼)は主として現世利益の祈祷で、夏の大祭は死者供養が主となっていました。
参詣道には、4つのルート(川内口、田名部口、大湊口、正津川口)がありました。主に歩かれていた時代は江戸時代から昭和(戦前)にかけてで、1937年に定期バス(田名部~恐山)が運行されると他のルートは次第に衰退していきました。
4ルートのなかで比較的古道が残っているのは川内口で、四体地蔵から六体地蔵、そして一体地蔵へとお地蔵様を拝みながら登っていきます。そして一体地蔵のある峠(大尽山の肩)から宇曽利山湖へ下り、湖岸を恐山菩提寺へ向かいます。
川内口の本道は「熊野川越え」ですが、駐車場からの距離が短い「八木沢越え」がよく利用されています。他の枝道(湯野小川越え、和白沢越え、高野川越え)は、荒廃または廃道に近い状態です。
この他、釜臥山(恐山奥の院)山頂の釜臥山嶽大明神に参詣する「山懸け」のルートもありました。
※写真は、大尽山から望んだ宇曽利山湖と恐山菩提寺です。

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