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近江坂古道、滋賀県今津町にある酒波(さなみ)から福井県若狭町能登野まで続く約22km強、所要時間は12時間程の交易路です。
かつて近江坂古道は人馬が往来した道で、U字形の掘割の跡が今も各所に残っています 。
天台宗・真言宗の道場として発展したといわれている酒波寺は、奈良時代に「行基」によって741年(天平13年)に開創されたと伝わります。
観応2年(1351年)酒波寺の入会地に若狭国倉見の人々が立ち入りを認められたお礼に、能登野・倉見の両村から近江国河上荘に600巻におよぶ大般若経(経典)を運んだ道が近江坂であり、福井県境の山域を寺領として若狭から近江に年貢が運ばれていました。
近江坂古道の一部は高島トレールと重なり中央分水嶺を歩きます。
標高949.5mの大御影山が最高点で、県境を跨ぐ長い道程の大半にブナ林が続く原生林の尾根道です。
この歴史ある古道の整備のために結成された「今津山の会」が2007年から高島市の委託を受け、今津地域まちづくり事業の一環として近江坂のルートの復元が進められました。
大日尾根から能登郷分岐にかけては、手入れのいき届いた美しい原生林が続きます。
能登郷に下るルートは若桜町からの参加も得て行われ、馬に荷役を背負わせ人々が通った道が確定されて古道が蘇りました。
※写真は、林道に出る前の天増川に掛かる橋。