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日本山岳会が選ぶ「日本の山岳古道120選」

89 上北山尾鷲古道

東ノ川をこえて台高山脈を横断する古道

奈良県と三重県の県境を走る台高山脈は、大台ヶ原山で二つにわかれます。間を流れる東ノ川の渓谷には、上北山村から移住した人々の住む集落がいくつか存在していました。
1962年に坂本ダムが建設され、これらの集落が水没することになるまでは、北山川ぞいの地区と東ノ川地区とを結ぶ山越えの道が何本か通じていて、1週間に1回郵便配達夫が郵便物を届けていました。
東ノ川地区から東にも山越えの道が通じており、海に面した尾鷲や相賀と結んでいました。
この道を通って、塩や魚などの海産物が奈良県側に運ばれ、また林業が盛んであった頃には、材木を尾鷲方面に搬出するルートとしても機能していました。
しかし、これらの峠道は、ダムの建設やそれにともなう自動車道の整備さらには林業の衰退とともに交通路としての役割を失い、すべて廃道となってしまいました。
現在、坂本ダムのダム湖によって遮断されているため、かつての古道を通して歩くことは不可能となっています。
そこで①北山川から東ノ川への山越えルートと②東ノ川から尾鷲への山越えルートと、二つにわけて調査しました。
※写真は坂本貯水池に落ちる不動滝。

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