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日本山岳会が選ぶ「日本の山岳古道120選」

83 吉野みち

飛鳥・宇陀野と吉野をむすぶ5つの峠道

吉野から大峰にいたる山域はかつて金峯山とよばれ、霊峰として信仰されていました。
古代に都のおかれた大和に住む人たちにとって、吉野は神秘の異郷であり、大海人皇子(天武天皇)が飛鳥から峠を越えて吉野に隠棲し、翌年近江へと進撃して勝利をおさめたように、再起を期して一時身を隠すアジールでもありました。
修験道のメッカである吉野・大峰をめざして、多くの修験者や参詣者が奈良盆地と吉野川流域とを画する竜門山地を越えていきました。
さらに時代が下がると、吉野は花の名所として知られ、また西国三十三箇所巡礼(壺坂寺・岡寺・長谷寺)のルートとしても大いに繁盛しました。
かつては、西から車坂越、芦原越、壺坂越、芋越、冬野越、細越などの峠道が奈良の各寺社と吉野をむずび、吉野からは大峰・熊野、高野山さらには伊勢へと街道が通じていました。
これらの峠道を数多くの歴史的有名人や文人墨客が往還したのです。
そのうち、現在でも山岳古道として歩くことができる5つの峠道(壺阪越、芋越、冬野越(竜在峠)、細越、宮奥越(三津峠))を紹介します。
※写真は、竜在峠の竜在辻に立つ道標です(冬野越)。

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