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日本山岳会が選ぶ「日本の山岳古道120選」

49 十文字峠越え

樹林に囲まれた交易と信仰の道

十文字峠は長野県南佐久郡川上村と埼玉県秩父市の境、奥秩父にある峠道です。
標高は1,962m。中央分水嶺でもあり、埼玉県側は荒川、長野県側は千曲川の流域です。
江戸時代以前より武蔵国と信濃国を結ぶ街道として往来があり、交易や善光寺・三峰神社への参拝に使われました。
古代には信州和田峠付近に産出する黒曜石が十文字峠を越えて秩父に運ばれたと伝えられています。
峠道は鬱蒼とした樹林に覆われた奥秩父を代表する自然景観が残る歩きやすい道で、昔ながらの十文字小屋が登山客を迎えてくれます。
また、十文字峠を挟んで一里ごとに観音菩薩の苔むした石像(里程観音)が安置され、三峯山への参詣や秩父夜祭を楽しみに通行する旅人の安全を見守っています。
秩父から雁坂峠を越えて山梨への抜ける秩父往還と秩父から十文字峠を越えて、川上村梓山へ向かう分岐が栃本です。
栃本には江戸時代の関所跡が残され、往時を今に偲ぶことが出来ます。
※写真は、十文字峠の分岐道標。

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