single-kodo120_detail
33 三国街道 二居峠・三国峠/清水越え
沼田盆地から武尊山の西を越えて奥利根の藤原へと続く道です。沼田と奥利根を結ぶ生活道としての性格が強かったものと思われます。
古くから沼田市上発知の奥、武尊山西斜面に広がる高原状の玉原にはブナなどの天然林が広がり、その巨木群の中に細い道が伸びていました。今の水上町藤原から葡萄坂を登り、田代の谷地(現在の玉原湿原、玉原湖付近)を経て迦葉山弥勒寺入口の透門へと下る道です。
ここでは藤原側から玉原(たんばら)への往復コースとして紹介します。往路の前半は揚水式発電所の管理道路で、後半から古道の雰囲気が漂う道を登ります。
なお、藤原から利根川を少し下流に行った粟沢からは、前述した通り、さらに北へと標高2000m級の国境稜線を越えて、越後の清水へ続く清水越えの経路の一つが延びていました。
東京電力玉原揚水発電所管理用道路のゲートをくぐると、すぐにトンネルがあり、この先は整備された道が1kmほど続きます。管理用道路の終点には大きな変電所が待ち構えています。
最後のカーブから古道の面影を残した世界に変わります。秋には落ち葉の積もる道を少し進むと左手に無名の滝が見えて来ます。その後も趣のある古道を進みます。その先に大きな倒木がありますが、ここは手が入れられています。
しばらく古道の雰囲気に浸りながら高度を稼ぐこと1時間で稜線上の玉原越えに出ます。
これより玉原湿原遊歩道分岐、木道の遊歩道、そしてその先にはブナの湧水があり、まもなく「たんばらセンターハウス」があります。
ここにはトイレがあります。
復路は途中まで来た道を戻り、玉原湿原西の道をたどって玉原越えに戻り、往路を下ります。
なお、沼田側からマイカー等で入り、センターハウスから逆コースで往復しても良いでしょう。
ゲートがあり、車での進入はできません。また管理用車両の通行の妨げにならないよう注意してください。ゲート付近の駐車もできません。
その昔、沼田盆地側の発知谷に住む人々と利根川源流域の藤原の人々は玉原を越えて行き来していました。藤原地区は今でこそダムが何カ所も出来、発電所が建設され交通も便利になりましたが、道路が整備されるまでは、沼田に行くにはどうしても上発知を通らなければ倍の時間がかかるので、玉原を越えて沼田へ向かったということです。両地域間の行き来も盛んで、上発知の人と藤原の人はほとんど顔見知りだったということです。
藤原の人が沼田へ来るときには玉原を越えて上発知辺りに泊まったようです。また発地谷の人は、よく藤原の奥の湯の小屋温泉に湯治に行ったそうです。また、当時の藤原の人々は、木工品のメンパや当箱、木鉢(こねばち)などを持って来て白米などと交換して行ったもので、今もその当時の品物が残っている家が発知にはあります。
また、また現在の藤原ダム下流にある粟沢集落付近からは北へは朝日岳付近の上越国境を越えて越後の清水へと道が続き、謙信岩などという岩の名も残っています。
玉原ダムは純揚水式水力発電所の玉原発電所の上部ダムで、利根川の藤原ダムによってせき止められた藤原湖が下池として利用されています。沼田市へ流れ下る発知川をせき止めた中央土質遮水壁型のロックフィルダムで、昭和56年(1981年)に完成しました。その後、周辺はリゾート開発が進み、スキー場やラベンダーパーク、ペンション村などが整備されました。
玉原高原は武尊山西斜面の標高1200~1600mにある緩やかな高原です。鹿俣山(1637m)を頂点に西側に三角形状に広がり、その底辺にあたる部分が人造湖の玉原湖になっていて、玉原越えは高原の西を南北に越えています。
さらにその西には尼ヶ禿山(1466m)がそびえています。上部はブナ林が主体で、下部には玉原湿原があります。
玉原湿原は高層湿原で小尾瀬とも呼ばれ、ミズバショウなど多くの湿原植物が見られます。例年5月のゴールデンウィーク頃がミズバショウの見ごろとなります。
玉原湿原はダム建設で水没することになっていましたが、保護運動により堤高を12m低くし、ダムの水位を下げることにより保全されることになりました。
冬の積雪量は多く、スキー場ではスキーやスノーボードを、玉原高原ではスノーシューやクロスカントリースキーを楽しむことが出来ます。
現在、トイレのみの施設となっています。またセンターハウス前に駐車可能で、ここを起点に玉原越えの古道上半部を玉原湿原、玉原高原と合わせて楽しむのも良いでしょう。沼田方面から車で来た場合、ここから先の車道へは進入できません。
また、センターハウスの北には自然環境センターがあります。玉原湿原の南、車道から木道へ入る分岐にある小さな建物です。トイレを利用することもできます。
長沢橋バス停
↓ 45分 2.6km
登山口
↓ 1時間10分 1.8km
玉原越え(峠)
↓ 25分 1.5km
センターハウス
↓ 1時間40分 3.4km
登山口
↓ 45分 2.6km
長沢橋バス停
関越自動車道水上インターチェンジから国道291号線で諏訪峡、みなかみ温泉街を経て上流を目指します。沼田市から一般道経由の場合は国道17号線、291号線、主要地方道61号線と進み、ふたたび291号線で水上インターチェンジ出口の道に合わさります。
湯檜曽からは主要地方道63号線(水上・片品線)を登ること10分で藤原ダム堰堤を渡り、その先新立岩トンネルを抜けると長沢橋バス停で右に駐車スペースとなる路側帯があり、ここが玉原古道の入口となります。
路線バスの場合は上越新幹線上毛高原駅(水上駅で乗り換え)または上越線水上駅から関越交通バス湯の小屋行で長沢橋バス停下車。便数が少ないので要確認です。
関越交通沼田営業所(電話0278-23-1111)
春から秋(4月1日~10月31日)の土日祝日、上越線沼田駅からたんばらセンターハウスまで1日3往復。
関越交通沼田営業所(電話0278-23-1111)
「群馬新百科事典」上毛新聞社編、2008.3
《担当者》
日本山岳会群馬支部
荒木輝夫