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104 四国八十八か所遍路道
「かも道」「いわや道」「平等寺道」
21番札所太龍寺は、弘法大師が若い時に修行した場として確実視されています。
その太龍寺に向かう山道、「かも道」には、四国遍路道の中で一番古い南北朝時代の丁石が並び建ち、四国最古の遍路道とされています。
太龍寺から22番札所平等寺に向かう山道は、弘法大師が竜を法力で閉じ込めたという伝説の「竜の窟(岩屋)」に至る「いわや道」と「平等寺道」から成っています。
現在、竜の窟は削られて消滅し、跡地は石灰鉱山となっており、至ることはできなくなっています。
■一宿寺~弘法大師座像まで
出発点は、弘法大師、その後京都東寺の僧長範が一宿したという一宿寺になります。
境内入口から左手に「かも道」に入る道があります(図1)。
登り始めは急な坂道が続きます。「青のみち」と呼ばれる竹林の中の道を進み、歩きはじめて1.5kmほどの所に三十二丁石があり(図2)、続いて右手方向に弘法大師坐像があります。
ここから弘法大師が20番札所鶴林寺に飛び立ったという伝説があり、座像に向かって左に「これより つるへと とびなされし おあと」と記されています(図3)。
遍路道としてよく整備されていますが、行程約12km、累積標高約900m、歩行時間5~8時間の長い道のりで体力が必要です。出発点の一宿寺までは公共交通手段がないため、自家用車およびタクシーの利用が必要です。また出発点の一宿寺と終点の阿瀬比の薬師庵の間にも公共交通手段がないため、タクシーを予約するか、自家用車1台を終点にデポしておくことをおすすめします。体力があれば終点から県道28号線を徒歩で戻ることも可能です。
加茂谷タクシー:TEL 0884-35-1211
新野タクシー:TEL 0884-36-3131
阿南タクシー:TEL 0884-22-2717
橘タクシー:TEL 0884-27-0018
「かも道」は「太龍寺道」との交差地点に立つ道標(図6)の刻銘などからそう呼ばれています。道中に貞治四年(1365年)の刻印が残る丁石を転用した道標が数基残っており、四国八十八か所遍路道の中で最も古い道といわれています。「いわや道」は21番札所太龍寺から「竜の窟(岩屋)」に至る道で、寂本の『』(1689年(元禄2年))には、寺から三十町ほど東南へ行ったところに岩窟があると記されています。「平等寺道」は竜の窟から22番札所平等寺へ向かう道です。1965~74年(昭和40年代)に竜の窟が消滅し、廃道化していたのを近年住民が復活させました。
■一宿寺
『加茂谷村誌』によると弘法大師が太龍寺登山の際に、ここで一宿し、1095年(嘉保2年)に京都東寺の長範僧正が太龍寺中興のために訪れた際も一宿したことから、一宿寺という寺名になったとされています。
■阿南市文化振興課
阿南市役所
〒774-8501 徳島県阿南市富岡町トノ町12番地3
電話:0884-22-1111(代表) FAX:0884-22-4090
■徳島県立博物館
https://museum.bunmori.tokushima.jp/
■お接待と納札
四国では四国霊場を巡礼するお遍路さんを敬い、助けることで自身がお遍路をしていなくても、そのお遍路さんと同じ功徳がいただけると言い伝えられてきました。お遍路さんはそういった接待をいただくことに感謝を感じ「お接待をうける」という様に「御」をつけることで敬意を表すようになったとされます。
また、お接待を受けたお遍路さんは御礼として自身の納札を手渡す古来よりの風習もあります。
https://88shikokuhenro.jp/
■太龍寺の年中行事
本尊初会式 1月12日
弘法大師正御影供 旧暦3月21日
https://88shikokuhenro.jp/21tairyuji/
一宿寺
↓ 60分 2km
弘法大師坐像
↓ 80分 3km
太龍寺本堂
↓ 40分 1.5km
太龍寺山頂
↓ 60分 2km
「竜の窟(岩屋)」への分岐
↓ 60分 2km
薬師庵
■公共交通機関
〇JR阿南駅~一宿寺(阿南市加茂町宿居谷5)
タクシー(約14km、25分)
*阿南タクシー:TEL 0884-22-2717
*橘タクシー:TEL 0884-27-0018
*加茂谷タクシー:TEL 0884-35-1211
*新野タクシー:TEL 0884-36-3131
○阿瀬比~JR阿南駅
徳島バス[88]阿南センター前行き 阿南駅下車(35分)
タクシー(約15km、25分)
■マイカー
・徳島自動車道・徳島I.C. → 国道11号線を南に進む → 国道55号線を南に進む → 勝浦川橋南詰交差点を右折、県道16号線を進む → ローソン勝浦町沼江店手前を左折、県道28号線を進む → 阿南市加茂谷鯉祭りイベント会場に駐車(イベントが開催されていなければ無料で駐車可能)→ 徒歩にて一宿寺へ
*車2台で行き、1台を終点近くの道の駅わじき(那賀郡那賀町中山関が原35-56)の駐車場に駐車しておくことをお勧めします。
●「かも道」「いわや道」「平等寺道」を書くのにあたって参考にした文献
〇徳島県教育委員会編『徳島県歴史の道調査報告書 第五集 遍路道』 徳島県教育委員会、2001.3
○徳島県教育委員会編『阿波遍路道 いわや道・かも道(第21番札所 太龍寺) 調査報告書』 徳島県教育委員会、2011.1
〇伊予史談会編『四国遍路記集 伊予史談会双書 第3週』 伊予史談会、1981.8
〇村上譲訳『教育社新書<原本現代訳>106 四国徧礼霊場記』 教育者、1987.3
○加茂谷へんろ道の会 『あなん遍路史跡めぐり』
●読者が参考になる文献
〇日本遺産 ポータルサイト「四国遍路」 STORY #015
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story015/
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story015/spot/
●古文書、古地図、絵図、絵画など
○四国徧礼絵図(愛媛県歴史文化博物館 絵図・絵巻デジタルアーカイブ
https://ehime-archive.iri-project.org/detail/om-0078
○『四国徧礼道指南 増補大成』(香川県立図書館デジタルライブラリー)
https://www.library.pref.kagawa.lg.jp/digitallibrary/henro/komonjo/detail/DK01460.html
○徳島県文化の森総合公園/とくしまデジタルアーカイブ
https://adeac.jp/tokushima-bunkanomori/detailed-search?mode=catalog&word=&bl1=subject&bl1word=%E9%81%8D%E8%B7%AF&bl1op=and
《担当》
日本山岳会四国支部
庄武憲子
《協力》
徳島県立博物館